マイクロスコープ
(歯科用顕微鏡)とは
マイクロスコープは、最大で肉眼の24倍という圧倒的な拡大視野で患部を確認できる「歯科用顕微鏡」です。
マイクロスコープの使用により、虫歯治療や根管治療(歯の神経の治療)、かぶせ物やつめ物の適合チェックをより精密に行なうことが可能となるため、再発リスクの少ない良質な治療をご提供できます。
また、マイクロスコープは「治療」だけでなく、「診断」にも役立ちます。「歯根破折」や「歯の表面の細かい亀裂」などは通常肉眼では確認できませんが、マイクロスコープの拡大視野で患部を確認することで、容易に診断できます。
当院では、「治療の繊細さ・精密さ」が治療の質を大きく左右する歯科治療において「マイクロスコープの拡大視野による治療」はたいへん有効だと考え、2012年よりマイクロスコープを導入し、精密な歯科治療をご提供し続けています。
マイクロスコープを
用いた精密歯科治療
マイクロスコープは、お口の中の診査や診断において重要な役割を果たすとともに、
根管治療、補綴治療、審美歯周外科、インプラント治療などの精密な処置を必要とする治療において、
たいへん大きな力を発揮します。当院では、以下のように治療においてマイクロスコープを活用することにより、
より的確な診断と良質な治療をご提供しています。
マイクロスコープを用いた精密歯科治療
マイクロスコープがとくにその力を発揮するのが、「根管治療」です。「根管」とは、歯の内部にある「歯髄(歯の神経)」が通っている組織のことをいい、歯髄が細菌によって炎症を起こしている場合に、根管内から感染した歯髄を取り除いて殺菌する治療のことを「根管治療」とよびます。
これまで根管治療は歯科医師の「手先の感覚」を頼りに行なわれてきましたが、根管は複雑な形状をしているため、感覚だけで根管内の感染した組織を完全に取り除くことはかなり難しいとされてきました。
しかし、マイクロスコープの使用により、感覚ではなく拡大視野でしっかりと患部を確認することで、感染組織を残さず取り除けるようになりました。
根管治療は、歯の寿命を左右する重要な治療です。当院では、「できるだけ患者さまの歯の寿命を延ばしたい」という思いから、たとえ保険診療であってもマイクロスコープを使用して根管治療を行なっています。
補綴治療・審美歯科治療
かぶせ物やつめ物の補綴物による治療においてもマイクロスコープは活躍します。かぶせ物やつめ物をする前に歯を削って整える作業や、かぶせ物やつめ物の適合チェックをマイクロスコープによる拡大視野下で行なうことにより、天然歯のとのすき間のない良質な補綴物による治療をご提供できます。すき間のない補綴物は虫歯や歯周病になりにくいため、歯の寿命を延ばすことにも繋がります。
また、マイクロスコープの拡大視野下で補綴物の色調整や仕上りの修正、研磨を行なうことにより、さらに自然で美しく、長持ちする補綴物を作製できます。
審美歯周外科(マイクロサージェリー)
歯周病や加齢などによって歯肉が痩せてしまった場合に、歯の長さや形態を改善するために、歯肉の高さや厚みを外科手術によって整える治療のことを「審美歯周外科」といいます。
「審美歯周外科」の治療として歯肉が痩せている部分に、患者様ご自身の「結合組織」を移植することで、見た目を改善する「根面被覆術」という手術方法がありますが、このような手術をマイクロスコープの拡大視野下で行なうことにより、手術による傷や体への負担を最小限に抑えるられます。また、たいへん繊細な処置が可能となるため、仕上がりの審美性も格段に向上させられます。
このようにマイクロスコープによる拡大視野下で行なわれる外科手術のことを「マイクロサージェリー」といいます。
インプラント治療
インプラント治療においてもマイクロスコープを使用したマイクロサージェリーを行なうことで、最小限の傷口で的確な位置にインプラントを埋め込めます。外科手術による手術による傷や体への負担を抑えることは、術後の腫れや痛みの軽減にも繋がり、治療期間の短縮や通院回数の減少なども期待できます。
また、インプラントに人工歯を装着する際にもマイクロスコープの使用により、人工歯の向きや歯肉との接触具合などを細かく調整できるため、より自然で美しい見た目に仕上げられます。
難抜歯や顎関節症などの口腔外科
歯根が屈折している親知らずや、歯根のみの状態になった歯、歯冠の一部またはすべてが歯肉の中に埋まっている歯など、「抜くのが難しい歯(難抜歯)の抜歯処置」においてもマイクロスコープは活躍します。
マイクロスコープは抜歯が必要な歯の診査をサポートするほか、抜歯における歯と骨とのすき間に器具を挿入して脱臼させる処置においても、細かい器具の操作を的確かつスムーズに行なえるようにサポートします。
また、マイクロスコープを使うことで、抜歯後にできた穴のなかに歯の欠片や病的な組織の取り残しがないように精密にチェックできるため、「病変組織による骨再生の阻害」や「病変組織による抜歯後の出血」などを防げます。
そのほかにも、顎関節症の治療における「歯を削ったり補綴物の調整をしたりする」咬合調整や、口腔外科におけるさまざまな外科処置にもマイクロスコープを使用することで、より精密な治療が可能となります。