マウスピース型矯正装置(インビザライン)
による治療とは
透明なポリウレタンでできた、薄さ約0.5mmのマウスピース型の矯正装置を歯列にはめることで、少しずつ歯を動かしていく矯正治療法です。
この装置は、表面に突起のないなめらかな形状をしており、精密な型どりをもとに作られているので、フィット感に優れています。そのため、一般的なワイヤー矯正装置のように、つけていても目立ちません。
また、自分で取り外せるので、装置のない状態で食事ができ、食べるものを制限されません。歯も装置を邪魔にせず隅々まで磨けるので、虫歯の発症リスクを軽減できます。装置自体も簡単に水洗いできるので、清潔な状態を保ったまま治療を続けられます。
なお、装置は治療終了までに使う複数枚が一括で作られ、約2週間に1回、自分で次のステップの新しい装置と交換しながら継続的に弱い力をかけ、徐々に歯を移動させていきます。
マウスピース型矯正装置(インビザライン)の特長
マウスピース型矯正装置(インビザライン)は審美性に優れ、治療中でも口元が気にならないほか、ライフスタイルへの影響がほとんどありません。
主に下記のような特長があります。
● 目立たない
装置が透明で薄く、表面に突起がないので歯にフィットして目立ちません。つけていても、至近距離でじっくり見られることがない限り、周りの人からほとんど気づかれずに矯正治療を進められます。
● 自分で取り外せる
自分で取り外して、装置のない普段どおりの状態で食事や歯磨きができます。好きなものを食べられ、歯も丁寧に磨けます。装置は洗浄できるので、いつも衛生的な状態で使えます。
● 痛みがほとんどない
装置1枚につき、歯の移動距離は約0.25mmとごくわずかです。弱い力をかけて徐々に歯を動かすので、ワイヤー矯正装置のような、歯が動くときの痛みを軽減できます。
● 通院回数が少ない
治療終了までに使う装置がすべてまとめて作られます。約2週間ごとに自分で装置を交換しながら治療を進めるので、そのつど歯科医院に行く必要がなく、通院回数が約2ヵ月に1回と少なくすみます。
「マウスピース型矯正装置(インビザライン)」と「ワイヤー矯正装置」の違い
マウスピース型矯正装置(インビザライン) | ワイヤー矯正装置 | |
---|---|---|
適応症例 | 〇 ・非抜歯症例 ・抜歯しても歯の移動が少ない症例 |
〇 ・難症例を含め、ほとんどの症例に適応する |
適応しない症例 | △ ・重度の不正咬合 ・歯を大きく動かす必要のある症例 ・重度の歯周病 ・インプラントが埋入されている症例 |
〇 ・ほとんどない |
見た目 | 〇 ・装着していることが気づかれにくい |
× ・金属のブラケット・ワイヤーは目立つ ・白いブラケット・ワイヤーは金属ほど目立たないが、つけていることがわかる |
食事 | 〇 ・取り外しが可能なため、食事しやすい |
× ・装置の離脱・破損を招くものは食べられない |
歯磨き | 〇 ・取り外しが可能なため、磨きやすい |
× ・装置があるので磨きにくい |
発音 | △ ・ほとんど影響しない |
△ ・ほとんど影響しない |
スポーツ | 〇 ・制限がない |
△ ・装置の離脱やお口のけがを招く可能性のあるコンタクトスポーツは不向き |
楽器演奏 | 〇 ・ほとんど影響しない |
△ ・楽器によっては演奏に影響する |
金属アレルギー | 〇 ・ポリウレタン製の装置のため発症しない |
△ ・金属のブラケット・ワイヤーは、発症する可能性がある |
痛み | 〇 ・ほとんどない |
× ・強く締め付けるような痛みがある ・金具が当たり口内炎ができやすい |
治療期間 | △ ・平均 2.5年~4年(※) |
〇 平均2~3年(※) |
治療費 | × ・平均100万円前後(※) |
△ ・平均70万円前後(※) |
※あくまで目安となります。症例などによって異なりますので、詳しくは歯科医師までご確認ください。
口腔内3Dスキャナー(iTero:アイテロ)とは
マウスピース型矯正装置(インビザライン)を作製するうえで欠かせないのが、精密な型どりです。そのため、当院では「口腔内3Dスキャナー(iTero)」を導入しています。
ペン型のスキャナーで歯列をなぞりながら撮影すると、歯型がモニター上に立体的に表示されます。歯の凹凸や溝などの細かな部分まで緻密に再現されるのが特長です。このデータを利用することで、治療中・治療後の歯の移動をシミュレーションでき、美しく整った最終的な歯並びを事前に確認できます。またデータをもとに装置が作られるので、完成までの期間が早まります。
従来の型どりではシリコン印象剤を使っており、印象剤をお口の中に入れる不快感や、口をあけたまま硬化を待つ苦痛があったので、患者さまの負担になっていました。また、手作業での型どりになるので、細かな部分をきちんと再現できなかったり、装置が完成するまで時間がかかっていました。
口腔内3Dスキャナー(iTero)により、これらのデメリットが解消されたことで、患者さまにより早く、より精密なマウスピース型矯正装置(インビザライン)をお届けできます。
矯正治療にともなう一般的なリスク・副作用
- ・機能性や審美性を重視するため自費(保険適用外)での診療となり、保険診療よりも高額になります。
- ・最初は矯正装置による不快感、痛みなどがあります。数日から1~2週間で慣れることが多いです。
- ・治療期間は症例により異なりますが、成人矯正や永久歯がすべて生え揃っている場合は、一般的に1年半~3年を要します。小児矯正においては、混合歯列期(乳歯と永久歯が混在する時期)に行なう第1期治療で1~2年、永久歯がすべて生え揃った後に行なう第2期治療で1~2年半を要することがあります。
- ・歯の動き方には個人差があるため、治療期間が予想より長期化することがあります。
- ・装置や顎間ゴムの扱い方、定期的な通院など、矯正治療では患者さまのご協力がたいへん重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
- ・治療中は、装置がついているため歯が磨きにくくなります。虫歯や歯周病のリスクが高まるので、丁寧な歯磨きや定期メンテナンスの受診が大切です。また、歯が動くことで見えなかった虫歯が見えるようになることもあります。
- ・歯を動かすことにより歯根が吸収され、短くなることがあります。また、歯肉が痩せて下がることがあります。
- ・ごくまれに、歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- ・ごくまれに、歯を動かすことで神経に障害を与え、神経が壊死することがあります。
- ・治療中に金属などのアレルギー症状が出ることがあります。
- ・治療中に、「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口をあけにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- ・問題が生じた場合、当初の治療計画を変更することがあります。
- ・歯の形状の修正や、噛み合わせの微調整を行なうことがあります。
- ・矯正装置を誤飲する可能性があります。
- ・装置を外すときに、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、補綴物(被せ物など)の一部が破損することがあります。
- ・装置を外した後、保定装置を指示どおりに使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- ・装置を外した後、現在の噛み合わせに合わせて補綴物(被せ物など)の作製や虫歯治療などをやり直す可能性があります。
- ・顎の成長発育により、噛み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- ・治療後に親知らずが生えて、歯列に凹凸が生じる可能性があります。
- ・加齢や歯周病などにより歯を支える骨が痩せると、歯並びや噛み合わせが変化することがあります。その場合、再治療が必要になることがあります。
- ・矯正治療は、一度始めると元の状態に戻すことが難しくなります。
マウスピース型矯正装置(インビザライン)による治療にともなう一般的なリスク・副作用
- ・機能性や審美性を重視するため自費(保険適用外)での診療となり、保険診療よりも高額になります。
- ・正しい装着方法で1日20時間以上使用しないと、目標とする治療結果を得られないことがあるため、きちんとした自己管理が必要になります。
- ・ご自身で取り外せるため、紛失することがあります。
- ・症状によっては、マウスピース型矯正装置で治療できないことがあります。
- ・お口の中の状態によっては、治療計画どおりの結果が得られないことがあります。
- ・装着したまま糖分の入った飲料をとると、虫歯を発症しやすくなります。
- ・治療によって、まれに歯根吸収や歯肉退縮が起こることがあります。
- ・食いしばりの癖が強い方の場合、奥歯が噛まなくなることがあります。
- ・治療途中で、ワイヤーを使う治療への変更が必要になることがあります。
- ・お口の状態によっては、マウスピース型矯正装置に加え、補助矯正装置が必要になることがあります。
- ・治療完了後は後戻りを防ぐため、保定装置の装着が必要になります。
- ・薬機法(医薬品医療機器等法)においてまだ承認されていない医療機器です。日本では完成物薬機法対象外の装置であり、医薬品副作用被害救済措置の対象外となることがあります。
薬機法において承認されていない医療機器「インビザライン」について
当院でご提供しているマウスピース型矯正装置「インビザライン」は、薬機法(医薬品医療機器等法)においてまだ承認されていない医療機器となりますが、当院ではその有効性を認め、導入しています。
○未承認医療機器に該当
薬機法上の承認を得ていません(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構ウェブサイトにて11月21日最終確認)。
○入手経路等
インビザライン・ジャパン株式会社より入手しています。
○国内の承認医療機器等の有無
国内では、インビザラインと同様の性能を有した承認医療機器は存在しない可能性があります(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構ウェブサイトにて2022年11月21日最終確認)。
○諸外国における安全性等にかかわる情報
現在世界100カ国以上で提供され、これまでに1,300万人を超える患者さまが治療を受けられています(2022年6月時点)。情報が不足しているため、ここではインビザラインの諸外国における安全性等にかかわる情報は明示できません。今後重大なリスク・副作用が報告される可能性があります。
なお、日本では完成物薬機法対象外の矯正装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
※当該未承認医薬品・医療機器を用いた治療の広告に対する注意事項の情報の正確性について、本ウェブサイトの関係者は一切責任を負いません。
口腔内3Dスキャナー(iTero:アイテロ)の使用にともなう一般的なリスク・副作用
- ・薬機法(医薬品医療機器等法)において承認された医療機器であり、マウスピース型矯正装置による治療を行なう工程で使用する機器となります。
- ・口腔内3Dスキャナー(iTero)を使用して行なうマウスピース型矯正装置による治療は、自費診療(保険適用外)となり、保険診療よりも高額になります。
- ・印象剤を使用した従来の印象採得に比べ、印象採得時の不快感は大幅に軽減されますが、お口の中にスキャナーが入るため、ごくまれに多少の不快感を覚えることがあります。